パラリンピック選手は共生社会の「旗手」たれ


パラスポーツ支え社会貢献する日本財団、笹川会長に聞く

パラリンピック選手は共生社会の「旗手」たれ

インタビューに答える日本財団の笹川陽平会長=10日、東京都港区

 パラスポーツの競技団体や選手を支えているのが、競艇の収益の一部などで社会貢献活動を行う日本財団だ。2015年にパラリンピックサポートセンター(パラサポ、東京都港区)を設立し、各競技団体の共同オフィスを設けたほか、18年には選手の練習場所として専用体育館パラアリーナ(東京都品川区)の運用を始めた。笹川陽平会長(82)に聞いた。

 -コロナ下での東京パラの意義について。

 平和な時に平和の祭典ができるのは当たり前。あらゆる手だてを施して、安全な環境で実現するのが国際社会に対する日本の信義。日本の信用力を高める上でも重要だ。

 -パラ選手の役割は。

 (障害の有無にかかわらず活躍できる)インクルーシブ社会をつくる指導的な役割を果たしてほしい。障害者も健常者も社会参画できる時代にしていこうという国際的な流れの中で、パラ選手は旗手となる。

 -共同オフィス設立の背景は。

 パラ競技団体の事務方は、自宅でノートに帳面をつけている時代だった。横(競技間)の連絡もなかったが、各団体が一堂に会し、情報共有をできるようになった。職員を派遣し、翻訳や会計の協力もしている。12年ロンドン・パラの統合ディレクターは「将来のパラのオフィスはこうあるべきだ」と言っていた。

 -パラアリーナで選手は助かっている。

 公共の体育館では車いすで床に傷が付いてしまうため、練習場所がなく、練習量が足りないという話だった。想像以上に多く使ってもらっている。

 -一時コロナの療養施設に改修し、4月に練習場所として再開した。

 人命尊重が一番。競技団体の皆さんが賛成してくれたのはありがたかった。本当はもう少し早く(体育館に)戻したかった。

 -パラサポは、全国の学校に講師として選手を派遣している。

 障害を持ちながら懸命にスポーツに励んでいる人を、子供たちが自分の目で見る教育効果は計り知れない。彼らの努力や精神力を多くの人たちに知ってもらいたい。