アマゾン熱帯雨林の消失が60%加速


 ブラジル国立宇宙研究所(INPE)がこのほど発表したところによると、6月のアマゾン熱帯雨林の消失量は昨年同月に比べて60%近く加速した。1月に保守派のボルソナロ大統領が就任した後、5月までは昨年と変化がなかったが、6月に入って急激に増加したという。

 専門家らは、熱帯雨林の開発に前向きなボルソナロ大統領の政策が反映されている可能性が高いとみている。6月に消失した熱帯雨林は約760平方㌔㍍で、琵琶湖の面積をやや上回る。

 ボルソナロ氏は、昨年の大統領選挙時から経済成長の優先を政策目標としてきた経緯がある。就任後は、ブラジルの環境問題を管理・監督するブラジル環境・再生可能天然資源院(IBAMA)への予算を大幅にカット。さらには、アマゾン地域にある先住民保護区の開発などを明言、先住民が首都ブラジリアで開発に対する抗議活動などを行ってきた経緯がある。

 専門家らは「毎秒ごとにサッカー競技場1面分の熱帯雨林が失われていることになる」と指摘、環境保護団体からは「(現政権の)開発優先の政策を変更するべきだ」と現状を憂慮する声が上がっている。

(サンパウロ 綾村悟)