トランプ米大統領、露疑惑の捜査中止要求
トランプ米大統領は、ロシアによる米大統領選介入疑惑の捜査について中止を要求するなど、批判のトーンを高めている。11月の中間選挙が迫る中、ロシア疑惑をめぐる報道が連日のように続いていることにいら立ちを強めているもようだ。その一方、モラー特別検察官が率いる疑惑捜査に懐疑的な見方も米国内に広がっている。
トランプ米大統領は1日、ロシアによる米大統領選介入疑惑の捜査について「いんちきな魔女狩りがこれ以上わが国を傷付ける前に、セッションズ司法長官は直ちに中止すべきだ」とツイッターに投稿した。
セッションズ氏は昨年3月、自身とロシア当局者との関係が問題視されたことから、ロシア疑惑の捜査から身を引くと発表したが、これについてトランプ氏は「身を引くと前もって伝えられていれば、別の人を選んだ」などと同氏を批判してきた。だが、セッションズ氏に対するロシア疑惑捜査の中止要求を公にしたのは今回が初めてで、不満が高まっていることをうかがわせる。
トランプ氏は5月に、疑惑捜査チームに対して「不正なロシア疑惑捜査で選挙に介入しようとしている」とツイートしていた。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、トランプ政権関係者は、モラー氏が中間選挙の直前に共和党に不利になるような報告書を提出する可能性もあると見ており、神経をとがらせている。
しかし、トランプ氏がロシア疑惑の捜査中止を求めることは、モラー氏によって、司法妨害と捉えられる可能性がある。先月26日には、モラー氏がトランプ氏のツイートや公での発言が司法妨害に当たるか捜索するという報道が出ていたこともあり、サンダース大統領報道官は1日、トランプ氏のツイートについて「大統領の命令ではなく、意見だ」として火消しに追われた。
その一方で、昨年5月にモラー氏が任命されてから1年以上経(た)っても、焦点であるトランプ氏とロシアとの共謀関係を示す証拠はいまだに明らかにされていない。先月末、モラー氏が起訴したマナフォート元トランプ選対本部議長の初公判が開かれたが、トランプ氏は、罪に問われている脱税などが「昔の事案で、(ロシアとの)共謀とは無関係なでっち上げだ」と批判している。また、共和党議員らは、ロシア疑惑の捜査手法をめぐって連邦捜査局(FBI)が職権乱用したと主張。保守系メディアからは、疑惑捜査の政治的偏向が指摘されるなど、中立性を疑問視する向きもある。
こうした中、先月中旬に公表されたFOXニュースの世論調査では、モラー氏の疑惑捜査について不支持の割合は40%で、前月より3ポイント上昇。すぐに捜査を終結させるべきだとの意見は34%だった。ギングリッチ元下院議長は、1日に出演したテレビ番組で「(モラー氏に対して)指導力を発揮しないセッションズ氏にトランプ大統領が強い不満を持つのは当然だ」と述べ、トランプ氏のツイートに理解を示した。
(ワシントン山崎洋介)