圧力強化の方針堅持 米大統領


 北朝鮮のミサイル発射を受け、米政府は改めて「最大限の圧力」をかける方針を明確にし、北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させる考えを示した。ただ、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)が米本土全域を射程に収めた可能性も指摘されており、警戒感は一層強まっている。

 トランプ大統領は28日、記者団に「(北朝鮮の脅威に)しっかり対処していく」と強調。対北朝鮮政策に変化がないかを問われ、「一切変わらない」と述べ、圧力強化の方針を続ける考えを示した。

 マティス国防長官は、今回のミサイルが「過去のどの発射より高く飛んだ」とし、「世界と地域、そして米国に危険をもたらす弾道ミサイルの脅威をつくり出す取り組みが続いている」と語った。

 またティラーソン国務長官は声明を発表し、「北朝鮮のミサイル発射は隣国や地域、世界の安定を見境なく脅かすものであり、強く非難する」と強調。「国連制裁をすべて履行することに加え、国際社会は北朝鮮への海上交通を阻止する権利を含む、海洋安全保障の強化に向けた追加措置を講じる必要がある」と述べた。

 一方で「外交解決は依然として可能だ」とし、「平和的な道を探すよう努力を続ける」と主張。カナダと協力して、朝鮮戦争の国連軍に部隊を派遣した諸国と日韓などの関係国による会合を開催する考えも明らかにした。

 米国内では、北朝鮮が9月15日以来、2カ月以上もミサイル発射を行わなかったことから、対話に向けた兆候だとみる向きが一部あった。しかし、今回のミサイル発射で北朝鮮が核兵器開発を放棄する意思のないことが改めて浮き彫りとなり、対話に動きだすとの見方は崩れた形となった。

(ワシントン岩城喜之)