米中首脳会談 南シナ海、人権問題で対立
サイバー問題 閣僚対話創設で一致
【ワシントン岩城喜之】オバマ米大統領は25日、ホワイトハウスで中国の習近平国家主席と会談した。両首脳は会談後の共同記者会見で、懸案となっているサイバー問題について、企業秘密などの知的財産を盗んだり支援する行為をしないことで一致し、閣僚級の対話メカニズムを創設することで合意したと発表した。
対話メカニズムは年2回行い、米国からは国土安全保障長官や連邦捜査局(FBI)の関係者らが参加する。1回目の対話は今年中に開かれる。
オバマ氏は会見で、中国の関与が疑われるサイバー攻撃が増えていることに会談で直接、懸念を伝えたと明らかにした。また、サイバー問題での合意を「前進だ」としながらも、中国が適切に行動するか慎重に見極める方針を示した。
中国による南シナ海の岩礁埋め立てについては、「周辺国との問題解決をより困難にする」と強く批判。人権や信教の自由についても「大きな(立場の)違いがある」と強調し、改善を求めた。
一方、習主席はサイバー問題について「協力は両国の利益になるが、対立は双方の損失につながる」とし、「この問題を政治化すべきではない」と主張した。中国政府はサイバー攻撃の関与を認めておらず、合意事項についても積極的に協力するかは不透明なままだ。
また習氏は「南シナ海の島は中国の領土だ」とし、「領土主権と海洋権益を守る権利がある」と強調。人権問題でも歩み寄る姿勢は見せず、対立は解消されなかった。
中国は会談に合わせて、2017年にも温室効果ガス排出量取引制度を創設することを発表した。オバマ氏が力を入れる環境問題で協調姿勢を示した形だが、意見が対立する懸案事項の多くは平行線で終わるなど、成果の乏しい会談となった。