「反トランプ」幹部 追放へ
米共和党で路線対立
【ワシントン時事】米共和党でトランプ前大統領を批判するリズ・チェイニー下院議員が党下院ナンバー3のポストから追われる見通しとなった。米メディアが7日までに伝えた。トランプ氏の影響力が党内に根強く残っていることを示している。
チェイニー氏は、ブッシュ(子)政権で副大統領を務めたディック・チェイニー氏の娘。保守色が強くトランプ氏と政策的には立場は近いが、今年1月のトランプ氏弾劾訴追決議案採決で賛成に回り、大統領選の不正を訴えるトランプ氏の主張を「大うそ」と批判してきた。
チェイニー氏は今月5日には、米メディアへの寄稿で「危険で反民主的なトランプ氏の個人崇拝をやめ、真の保守主義を体現すべきだ」と党の路線転換を要求。トランプ氏の影響を強く受ける執行部もついに追放に動きだした。
今回の内紛は政策的違いではなく、大統領選に関するトランプ氏の主張を支持するか否かが争われた。CNNテレビが4月下旬に行った世論調査では共和党支持者の70%が大統領選を「正当でなかった」と回答。1月時点の75%と大差なく、トランプ支持勢力が依然多数派だ。
党重鎮のグラム上院議員は最近、「同僚に聞きたい。共和党はトランプ氏なしで前進できるか。答えはノーだ」と言い切り、トランプ氏の下での結束を呼び掛けた。
共和党は12日にもチェイニー氏を「親トランプ」派のステファニク議員に交代させる見込み。党の中枢をトランプ氏に忠誠を誓うメンバーが占めることで今後、「党の顔」として前大統領を前面に出すのは確実。来年の中間選挙や3年後の大統領選をにらんだ戦略に影響しそうだ。