トランプ氏、声明で対キューバ強硬対応を要求
デモ支持のバイデン大統領に
バイデン米大統領は12日、キューバで起きた大規模な反政府デモについてホワイトハウスで記者団に、「普遍的な権利を主張するキューバの人々を米国は固く支持する」と表明した。キューバ政府に対し、暴力を控え、キューバの人々の発言を沈黙させないよう求めた。
バイデン氏は、「キューバの人々は新型コロナウイルス流行による痛みや権威主義体制による何十年もの抑圧と経済難からの自由や救済を求めている」と指摘。キューバ政府に対し「国民の声を聞き、要求に応える」よう求めた。
キューバのディアスカネル大統領は12日、米政府が「キューバの社会不安を引き起こすため経済的に窒息させる政策」を追求したとして米国を非難した。これに対しブリンケン国務長官は同日、「キューバ政権が、米国が行ったことの結果として、数十の町や都市で起きていることを解釈することは重大な間違いだ」と反論。キューバの人々は、共産党指導部による経済政策や新型コロナ対応の失敗に反発していると指摘した。
米キューバ関係は、オバマ政権時代に国交正常化が進められたが、トランプ前大統領はこれを一転させ、制裁を強化し、退任間際の今年1月にはキューバをテロ支援国家に再指定した。
オバマ政権下で副大統領を務めたバイデン氏が大統領に就任することで、キューバ政策を再転換することも予想されたが、これまでのところ正常化に向けた動きは見せていない。バイデン氏はキューバへの制裁緩和について記者団からの質問に「そのうち話す」と述べ、明言を避けた。
一方、トランプ氏は声明で「ジョー・バイデン氏は共産主義政権に立ち向かわなければならない。さもなければ、歴史が記憶するだろう」と述べ、強硬な対応を求めた。
トランプ氏はまた「バイデン氏と民主党がキューバに対する私の非常に厳しい政策を逆転させるために選挙戦を行ったことを忘れるな」と強調した上で、「キューバの人々が投獄され、殺害されていたときに、オバマ氏はカストロ(国家評議会議長)と一緒に野球観戦したことを思い出してほしい」と述べ、民主党の対キューバ政策を批判した。
(ワシントン・山崎洋介)