バイデン氏 初の議会演説、「米国の再始動」を宣言
中国 習氏は「専制主義者」
バイデン米大統領は28日、議会上下両院の合同会議で就任後初の議会演説を行った。この中で、新型コロナウイルスなどによる危機から米国が脱しつつあるとして、「米国は再び動きだした」と強調。外交政策では、習近平国家主席を「専制主義者」と呼び、同氏に対し、「対立を始めるのではなく、対立を防ぐためインド太平洋で強力な軍事的プレゼンスを維持すると伝えた」と述べた。
バイデン氏は演説で、就任後100日間での新型コロナウイルスのワクチン接種は2億2000万回以上に上るなど、コロナ対応の成果をアピール。「危険を可能性に、危機を機会に、挫折を強さに変える」と述べ、米国の再建に向けた決意を示した。
対中国政策については、「米国の技術や知的財産の盗用など、米国の労働者や産業を弱体化させる不公正な貿易慣行に立ち向かう」と強調。習氏との電話会談で「競争は歓迎するが、争いを求めているわけではないと話した。だが、全面的に米国の利益を擁護することを明確にした」と訴えた。
北朝鮮やイランの核問題については、「同盟国と緊密に連携し、外交と抑止力で対処する」として、国際協調を重視する考えを示した。
経済面では、就任後100日ですでに130万の雇用が創出されたと指摘した上で、提示したインフラ投資計画が「米国の青写真になる」と強調。子育て支援と富裕層への増税を柱とする1・8兆㌦規模の「米国家族計画」も発表した。
演壇の背後には、ペロシ下院議長と上院議長を兼任するハリス副大統領が席に着いた。二つの議長席を女性が占める中、大統領の議会演説が行われたのは初めて。
一方、野党共和党は同日、黒人のスコット上院議員が反論演説を行い、バイデン氏が国を団結させると約束したにもかかわらず、「大統領と与党の行動はこの3カ月間、われわれをさらに分断させてきた」と指摘。増税と支出増により、政府の国民生活への関与が強まるとして、「アメリカン・ドリームの美しさは、家族が自ら決定できることだ」と強調し、家族の選択肢と機会を拡大すべきだと訴えた。
また、自らが人種差別を経験したことに触れながらも、民主党が人種問題を政治的に利用しているとして、「米国は人種差別の国ではない。われわれのつらい過去を利用して、現在の議論を封じ込めるのは間違っている」と批判した。
(ワシントン 山崎洋介)