米中の主張、平行線 香港・新疆・台湾 厳しく対立


気候変動 協力を模索

 米アラスカ州アンカレジで行われていた米中外交トップによる初の直接会談は19日、2日間の日程を終了した。中国による新疆ウイグル自治区などでの人権問題のほか、台湾への圧力など安全保障分野で議論は平行線をたどり、厳しく対立した。一方で、気候変動などの分野では利害が重なるとして協力を模索する姿勢も見せた。

 ブリンケン国務長官は会談終了後、記者団に「われわれが根本的に対立している分野はたくさんある」として、中国による新疆ウイグル自治区やチベット自治区での人権問題や香港への統制強化、台湾への圧力、サイバー攻撃を挙げた。これらを米国が取り上げた際、中国が「防御的反応を見せたことは驚きではない」と指摘した。

 一方で、ブリンケン氏は「イラン、北朝鮮、アフガニスタン、気候変動など互いに利益が重なる問題について率直な対話ができた」とも語り、これらの分野で協力を模索する姿勢を示した。中国国営メディアによると、気候変動分野での米中の作業部会設置で一致した。

 中国はトランプ前政権が発動した制裁関税の撤廃などを求めているが、ブリンケン氏は、中国側に「経済や貿易、技術の分野については、議会や同盟国と緊密に連携し、政策の見直しを行っている」と伝えたという。

 会談は、初日の冒頭から報道陣の前で1時間以上にわたって非難の応酬を繰り広げる異例の展開となった。

 サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は、「予想通り、厳しく、率直な対話となった」と表明。今後、同盟・友好国とも協議しながら、対中政策を練る考えを示した。

 会談後に記者会見した中国の楊潔箎共産党政治局員は、「会談は率直かつ建設的で有益だったが、双方にまだ幾つかの重要な相違点がある」と語った。王毅外相は「対話は対立より好ましい」として協調姿勢を示しつつも、「主権は原則の問題であり、中国の決意を過小評価しないように米国に告げた」と述べ、人権問題や安全保障で譲らない姿勢を強調した。