トランプ氏 バイデン氏「息子疑惑」追及
リベラル系メディアは黙殺
TV討論会でも議題へ
11月3日の米大統領選が迫る中、トランプ大統領は、米タブロイド紙が報じた民主党候補バイデン前副大統領と息子ハンター氏をめぐる疑惑への追及を強めている。疑惑については保守系メディアが連日報じる一方、リベラル系メディアはほとんど黙殺するなど対応は二分している。トランプ氏は22日夜(日本時間23日午前)のテレビ討論でも疑惑について取り上げる見通しだ。
2014年ごろ、ハンター氏はウクライナのエネルギー会社「ブリスマ」から月5万㌦(約520万円)の報酬を得ており、当時副大統領だったバイデン氏が同社に対する捜査をやめるようウクライナに圧力をかけた疑いがある。米タブロイド紙ニューヨーク・ポストは今月14日、ブリスマの幹部からハンター氏に宛てられたメールを公開し、同氏が当時副大統領だった父親を同社幹部に引き合わせていたと報じた。もし事実だとすると、彼が息子のビジネスについて関知していないというバイデン氏の主張と真っ向から矛盾することになる。
また15日に同紙は新たなメールを公表し、ハンター氏が中国のエネルギー会社から「紹介料」として年間1000万㌦を受け取っていたほか、バイデン氏にも報酬が支払われていたことを示唆する内容を伝えた。
疑惑についてはFOXニュースやワシントン・タイムズ紙などの保守系メディアが連日報じているが、リベラル系メディアはほとんど無視するか、報道の信頼性に疑問を投げ掛けている。ニューヨーク・タイムズ紙は、ニューヨーク・ポスト紙の記者が内容の信憑(しんぴょう)性に懸念を持っていたため、記事への署名を拒否したと報じた。
バイデン氏は疑惑報道について「中傷攻撃だ」などと反発するが、バイデン氏や息子のハンター氏は、メールの信憑性について明確に否定していない。バイデン選対関係者も18日、FOXニュースの番組で「これら(メール)が本物でないとは誰も言っていない」と否定しなかった。
一方、トランプ氏は攻めどころとみて、19日の選挙集会でバイデン氏について「長年の腐敗した政治家だ」と主張。バー司法長官にも、疑惑について捜査を開始することを求めている。また、トランプ選対は、トランプ氏がハンター氏をめぐる疑惑を22日の討論会で取り上げると明言している。
ただ、投票日まで2週間を切る中、討論会などでこうした疑惑追及に過度に焦点を当てることには、保守派の間からは得策でないとの見方も出ている。
(ワシントン山崎洋介)