ハリウッドは中国に屈するな

米司法長官 利益優先の大手企業を非難

バー米司法長官=6月8日、ワシントン(AFP時事)

バー米司法長官=6月8日、ワシントン(AFP時事)

 バー米司法長官は16日、中西部ミシガン州で講演し、ハリウッドの映画制作会社や大手IT企業が「短期的な利益のために米国の自由と開放性を犠牲にしてまで中国に屈している」と非難した。自由主義的価値観を守るため米企業に中国からの圧力に抵抗するよう呼び掛けた。

 バー氏は、ハリウッドの映画制作会社が中国での上映を認めてもらうため、「世界で最もひどい人権侵害者である中国共産党に譲歩し、頻繁に自らの映画作品を検閲している」と批判。中国へ配慮を示した例として、映画「ワールド・ウォーZ」で人間を狂暴化させるウイルスが中国起源であることを推測する発言が削除されたと報じられたこと、また映画「ドクター・ストレンジ」で、原作ではチベット民族だった老師役の登場人物がケルト民族に変更されたことなどを挙げた。

 バー氏はまた、「長年にわたりグーグル、マイクロソフト、ヤフー、アップルなどの企業は、中国共産党と積極的に協力しすぎてきた」と述べ、大手IT企業の対応にも不満を表明した。

 バー氏は、アップルが最近、香港の民主派抗議活動について報じていたニュースアプリ「Quartz」を、中国政府からの苦情を受け中国のアプリストアから削除したと指摘。また、同社が中国のネット検閲システム「グレートファイアウォール」を回避するための仮想プライベートネットワーク(VPN)アプリを削除したことも紹介した。

 バー氏は中国による知的財産窃盗などにも触れた上で、「中国の支配者の究極的な野心は米国との貿易ではなく、米国を襲撃することだ」と強調。

 その上で、「米企業が中国に頭を下げ続けるなら、将来の競争力や繁栄、そしてその成功を可能にした伝統的な自由主義的秩序を損なう危険を冒している」と警告した。