新型コロナ乗じ台湾に圧力、中国とWHO批判 米議会報告


「世界の人々の健康を危機に」

 米議会の超党派諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は12日、新型コロナウイルスが感染拡大する中、中国が台湾への外交・軍事的圧力を強めているとする報告書を公表した。世界保健機関(WHO)についても政治的な動機から台湾を排除し、ウイルスに関する情報共有を妨げたと批判した。

 報告書は、中国は数十年にわたって培ったWHOに対する影響力を行使し、台湾をパンデミックに対する国際的な対応から排除したと指摘。人から人に感染するリスクなどウイルスに関する台湾の情報をWHOが一貫して無視することで、「世界の人々の健康を危機にさらした」と非難した。

 また、各国が新型コロナへの対応に追われる中、中国軍機が今年に入って3回にわたり、台湾海峡の中間線を越えて台湾側に侵入したほか、中国の空母「遼寧」や艦艇が台湾周辺を航行するなど、「台湾に対する多面的な威圧的行為を強化している」と指摘した。

 一方、米上院は11日、台湾のWHO年次総会へのオブザーバー参加を支持する法案を全会一致で可決し、国務長官に対して参加に向けた戦略の策定を求めた。トランプ政権が台湾の参加を働き掛ける中、議会も超党派で台湾を後押しした。

 台湾は以前はオブザーバーとしてWHOの総会に参加していたが、4年前に独立志向が強いとされる蔡英文政権が発足して以降、中国の強い反対により参加を認められていない。

 報告書は、WHOの基本綱領に「すべての人々による最高レベルの健康の達成」と記されているとし、「台湾のWHOへのオブザーバーとしての参加なくして、この使命は果たせない」とその必要性を訴えた。

(ワシントン 山崎洋介)