常軌逸した反日不買運動
愛国利用の商法に疑問の声
日本製品不買運動が続いている韓国で「反日」商品やサービスが出てきていることを月刊朝鮮(8月号)が伝えている。「反日=愛国マーケティング」という。
不買はビールや衣料品だけではない。日本旅行キャンセル者を対象に、国内のリゾートホテルが割引したり、チキンのフランチャイズが「3年間、チキン無料」を打ち出した。しかし、今後局面が転換して日韓関係が小康状態になった時、このフランチャイズは「3年間」も約束を守れるだろうかといった疑問の声も聞かれる。
愛国マーケティングとしては国旗「太極旗」がデザインされた文房具や「NO JAPAN」のステッカー、Tシャツ、帽子などが売り出されている。
一番驚くのはチキンではなく銀行だ。18行あるうちの6行が「光復節」優待金利商品を出す。「特定積立金加入時、年最高3・1%の特別金利」だというから、「チキン3年無料」と同じように、反日が下火になったらどうするのか、興味のあるところだ。
専門家はこうした愛国マーケティングは「短期効果しかなく、さらに企業が反日をそそのかすのは真の愛国なのか疑問」と指摘している。
反日が度を超えているという指摘も出ている。同誌の別の記事で、極端な反日不買行動をSNSで誇ったり、日本車にはガソリンを売らないとか、日本製品のCMに出演している芸能人が批判にさらされたり、日本人タレントがつるし上げられるなど、常軌を逸したものが目立つようになっている。
専門家は「今の不買運動は理念が違う消費者の権利を害する水準にまでなっている」と警告しており、韓国民も異常さには気付いているようだ。
しかし、こうした不買運動の一方で、日本の輸出規制見直しに対して、韓国企業のほとんどは無策に近い。中小企業中央会が対日輸入100万ドル以上の企業を調べた結果、52%が「対応策なし」で、「準備をしている」が48%だった。その準備策も46・5%が「在庫分確保」、31・3%が「代替市場発掘」だったというから、ほとんど対応できていないに等しい。
「政府がまずすべきこと」として「日本との外交的解決」(44・7%)を第一に挙げている。日本と取引のある企業の本音がここにある。
編集委員 岩崎 哲





