股裂き状態の韓国
まず対日関係を修復せよ
韓国は対日関係だけでも難しいのに、さらに米中貿易戦争の渦中で困難に陥っている。韓国ではこの状況を「クジラの争いでエビの背が裂ける」という。米国からは中国企業の華為技術(ファーウェイ)を排除せよと迫られ、中国からはサード(高高度防衛ミサイル)配備で圧力を受けている。米中どちらとも経済関係が深く、両方から「どの陣営に着くのか」と迫られ、股裂き状態なのだ。
月刊中央(7月号)に中央日報の「金永熙(キムヨンヒ)名誉大記者」による「米中貿易戦争の十字砲火を受ける韓国」の記事が載っている。まさに韓国はクジラ同士の争いの真ん中で十字砲火を浴びているエビの境遇だ。その中で将来的に南北統一を目指すには、今、何をしなければならないかを指摘するものだ。
記事ではコール西独首相の統一外交を例に挙げた。コールはまず「ドイツ統一に反対する隣人を超人的な努力で説得することから始めた」とし、「英と仏とポーランドを統一支持に変え、最後にソ連のゴルバチョフの同意を得て」ついに「愚公山を移す」(根気よく努力し続ければ必ず成功する)を実現した。
この例を半島に当てはめてみれば、「英仏に相当するのは日本だ。ポーランドとソ連は中国」である。この構図でまず何をすべきかを考えると、おのずと答えは出てくる。「米国の圧迫がなくとも、最悪の事態に陥った韓日関係を復元することが、その第一であり、米国の力を借りて、中国を説得し、中国を活用して、米国の過度な要求を牽制(けんせい)する」と主張する。
現在の状況で、まず対日関係を復元するなどと口にすることは勇気の要ることだ。こと日本に関しては反対以外のことは「親日」の括(くく)りに入れられ、この国で「親日」は社会的抹殺にすらつながるからだ。
しかし、現実的に日本との関係を修復し、半島統一への支持を得ないことには、政治、経済、安保、あらゆる面で支援環境が整わない。さらに記事は北東アジアに「多者間安保機構をつくり、日本と中国を縛っておかないと永遠の平和の条件はつくられない」とも述べる。
「喉が渇いた人が井戸を掘る」のであれば、「韓国が先頭に立つしかない」とはいうが、エビの境遇を嘆いている韓国が「高次元の外交」を展開できるのか。それにはやはり、対日関係を修復し、日本の支援を受けることから始めなければならない。韓国がまずやるべきことがあるはずだ。
言論界の元老から「対日修復」が出てき始めたことで韓国に変化があるのか、注目する。
編集委員 岩崎 哲





