北朝鮮原潜、ロシアが技術支援か-川村純彦氏


元統合幕僚学校副校長・海将補 川村純彦氏

 北朝鮮が原子力潜水艦を建造しているとすれば、ロシアが援助していると思う。ロシアは最近、北朝鮮に接近しており、ミサイル技術などを支援している。北朝鮮は通常動力の潜水艦を建造しており、ロシアの支援があれば、原潜を造ることは十分可能だ。

川村純彦氏

 中国の原潜は音が大きく、探知しやすい。北朝鮮の原潜も相当大きな音が出ると思われる。日米の対潜戦能力の前には歯が立たず、外には出て来られない。従って、自国の港の周りに置いておき、そこから潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)でグアムやハワイを狙う形で使うのではないか。

 ただ、外に出て来られないなら、原潜である必要はない。多くのお金を使って原潜を建造する理由がよく分からない。

 中国は北朝鮮を用心し始めており、関係がこじれている。中国から援助を受けるのは難しいだろう。支援をするとすれば、やはり中国ではなくロシアだ。原潜技術ではロシアの方がはるかに高い。

 SLBMについては、北朝鮮は発射実験を行っており、技術はある程度できているとみるべきだ。1万数千㌔という長い射程は必要ないが、少なくともグアム、ハワイまで届くものはできる。

 SLBMは一番対抗しにくいミサイルだ。陸上から発射される大陸間弾道ミサイル(ICBM)などは、米国の第一撃でやられる可能性がある。SLBMがあれば、陸上が全滅しても必ず報復できる。北朝鮮にとって最も信頼できる戦略ミサイルだ。

 日米は対策をしっかり考えないといけない。ドローンを用いてミサイルを発射直後の上昇(ブースト)段階で撃ち落とす体制の構築を急ぐべきだ。