尹氏 僅差でリード 対日・地域安保改善か
文在寅大統領の任期満了に伴う韓国大統領選挙が9日実施された。即日開票の結果、10日午前0時35分現在(開票率52・3%)、政権交代を訴えた保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦候補(61)が得票率48・4%で、革新系与党「共に民主党」の李在明候補(57)の48・2%を僅差でリードする大接戦となっている。地上波放送局3社による共同の出口調査でも尹氏がリード。尹氏が当選すれば、韓国は5年ぶりに保守の政権奪還となり、内政・外交とも文政権の政策を大幅に見直すとみられる。投票率(暫定値)は77・1%。
今回の選挙は、不正疑惑が相次ぎ浮上した文政権への不信感が国民の間に広がる中、政権交代が最大の争点となった。尹氏と李氏による事実上の保革一騎打ちで、投票日直前まで支持率が拮抗する大接戦となった。
尹氏は選挙戦終盤で、同じく政権交代を訴えた中道系野党「国民の党」の安哲秀候補(60)との一本化を劇的に実現させたが、浮動票の取り込みは限定的で、逆に李氏の追い上げを許したとみられる。
選挙結果のカギを握るとみられていた20代、30代のうち尹氏は男性有権者から、また李氏は女性有権者からより多くの支持を受けた。近年、革新系候補が有利とされてきた首都圏では尹氏がソウル市で、李氏が京畿道でそれぞれ優勢だった。
尹氏が当選した場合、日本との関係修復に乗り出す可能性が高い。また北朝鮮や中国に融和的だった文政権の路線を見直すのは確実で、北東アジアで深刻な脅威となっている中朝を牽制(けんせい)する日米韓3カ国連携に追い風となりそうだ。
(ソウル・上田勇実)