中国軍 ICBM施設を大幅増強


新型ミサイル用サイロか

 中国が内モンゴル自治区に新たな大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射施設の建設を進めていることを、全米科学者連盟(FAS)が28日までに明らかにした。FASのアナリスト、ハンス・クリステンセン氏は「弾道ミサイル格納施設(サイロ)の大幅な拡充のようだ」と述べ、新型の固体燃料ICBMを格納するための施設との見方を明らかにした。

 公開された衛星写真によると、施設が建設されているのは、中国北部の吉蘭泰西方に広がるロケット軍訓練区域。この区域では、2016年から格納施設が建設されている。確認されている施設の数は計16基だが、昨年末からの工事で11基が着工されており、ここ数カ月で建設ペースは大幅に上がっている。

 衛星写真からは、ミサイルの「発射施設、装填(そうてん)を隠蔽(いんぺい)するためとみられるトンネル」や支援施設の建設も確認されている。

 中国は現在18~20基のミサイル格納施設を運用しており、吉蘭泰の施設が完成すれば、その数は一気に倍増することになる。また、従来の施設は大型で、「東風5」など旧式の液体燃料ICBM用のものだが、吉蘭泰の新たなサイロはほとんどがこれまでのものより小さく、クリステンセン氏は多弾頭型の「東風41」や「東風31A」など小型の固体燃料ICBMを格納するためではないかと指摘した。固体燃料ミサイルは、発射準備の時間が短く、事前に探知されにくいとされている。

 またクリステンセン氏は、最新式ミサイル格納施設の大幅拡充によって、「(中国軍が)サイロ型ミサイルの増強を狙っている可能性がある」と指摘。中国の現在の核戦略が「最低限の抑止力」であることを考えれば、このような大規模な発射施設の建設計画は「重要な意味を持つ」と指摘した。

 昨年の国防総省の中国軍事力に関する報告によると、「このサイズの格納施設は、東風5では使用できず、東風41などの小型ICBMの概念開発を支援するためのもの」との見方を示していた。

(外報部・本田隆文)