「勇気」見せたトランプ氏
半端な合意に妥協せず
「私は取引から手を引くことを決して恐れない」
トランプ米大統領は、2回目の米朝首脳会談が決裂に終わったことについてこう強調した。世界の注目を集める舞台でトランプ氏が取った異例の行動は、同じく物別れに終わった1986年のレーガン米大統領とソ連のゴルバチョフ書記長によるレイキャビク会談を想起させる。
レーガン氏は会談を決裂させたことで、中距離核戦力全廃条約がまとまらず、強い批判を浴びたが、翌年、米国により有利な条約ができた。このため、米国の保守派はトランプ氏に対し、中途半端な合意で妥協せず、レーガン氏のように交渉を決裂させる勇気を持つべきだと主張していた。
米朝首脳会談を取材した保守派の人気司会者ショーン・ハニティー氏は、トランプ氏の記者会見で、「レーガン氏は(交渉から)立ち去り、多くの批判を受けたが、極めて良い結果をもたらした」と指摘した。
トランプ氏はこれに直接コメントしなかったため、レイキャビク会談との比較をどう見ているかは分からなかった。ただ、保守派がトランプ氏の行動をレーガン氏になぞらえていることは確かだ。
レイキャビク会談の決裂は「5年後のソ連崩壊に極めて重要な役割を果たした」(マーク・ティーセン・アメリカン・エンタープライズ政策研究所研究員)とされる。今回の会談決裂が北朝鮮にどのような影響を及ぼすのか注目される。
(ハノイ早川俊行)