収容所は地獄よりひどい
ウイグル人男性が中国の過酷な弾圧を証言
中国当局によってウイグル人が強制収容所へ送られている問題で、家族を収容されたウイグル人男性が7日、東京・永田町の憲政記念館で行われた呉竹会アジアフォーラム(同会主催)に招かれ、当局から受けた弾圧や収容所の過酷な実態について証言した。
証言を行ったのはウイグル人で初めて、家族が収容所に収監されていると明らかにしたアブドラルラフマン・アイシャンさん。中央アジアとビジネスをする企業家だったが、2017年1月に当局から監視を受けていると気付き、危険を感じてキルギス(後にトルコ)に亡命。その4日後には自宅へ当局が踏み込んできたという。母親と妻は出国できず身柄を拘束され、現在も収容所にいるという。
アイシャンさんは「私の出国のために証明書を書いてくれた女性責任者も収容所に入れられた。その前に彼女がSNSで教えてくれた情報によると、カシュガルにある収容所ではウイグル人の若者が殺され、死体が一週間に何人も出てきている」と話した。
さらに、トルコに逃れてきた女性から聞いた収容所の様子として「手錠と足かせを付けて鉄の椅子に朝から晩まで座らせたり、手足を縛られた状態で部屋に大きなネズミを何匹も入れられ、耳や体をかじられる。さらに女性を裸にさせて侮辱・虐待し、体罰を与えられた後でも『謝謝(中国語でありがとう)』と言わなければならない」と、壮絶な状況を説明した。
また、自身の子供の話になると「中国人の家に養子に出されたのか、(特別な施設で)同化教育を受けているのか、道を放浪しているのか分からない。どこに行ってしまったのか心配でたまらない」と不安な心情を吐露した。
アイシャンさんは日本に願うこととして「私たちの訴えはほとんど世界を動かすことができなかった。ならば、私は安倍晋三首相に『母と妻を(いっそのこと)殺してやってくれ』と中国に伝えてほしい」と切実な声を上げた。
通訳を務めた日本ウイグル連盟のトゥール・ムハメット会長は「ウイグルの状況は地獄よりひどい。このような話は何度も聞いたが、涙を止めることができない」と語り、通訳の途中で声を詰まらせる場面もあった。