アイゼンハワー平和賞、馬英九台湾総統が受賞
「東シナ海平和イニシアチブ」を評価
米国のアイゼンハワー元大統領が1956年に創設した「ピープル・トゥ・ピープル・インターナショナル(PTPI)」は2014年9月に馬英九総統に「アイゼンハワー平和賞」を授与した。馬総統が提起した「東シナ海平和イニシアチブ」の東アジア地域における平和と安定への貢献を評価したもの。総統府が発表した。
同賞は、世界の傑出した人物を表彰する最高栄誉賞であり、これまでに米国のレーガン元大統領(1986年)、南アフリカのマンデラ元大統領(2010年)らが受賞している。
馬英九総統は9月19日夜、台南市内のホテルで開催される授賞式の前に、「PTPI理事会」の代表と会見、中華民国(台湾)は、国際社会の調和を促進していく過程において、ピースメーカーとしての役割を積極的に担っていくと表明した。
馬総統は授賞式で、近年台湾が国際社会において、「ピースメーカー」および「人道的支援の提供者」などの役割を積極的に担っていることに改めて言及し、「台湾が近年、『台湾海峡』『東シナ海』『南シナ海』など三つの状況における地域平和推進への行動は、台湾の『ピースメーカー』としての役割を実践する努力を大いに示している。また、2008年の中国大陸の四川大地震、2010年1月のハイチ大地震、2011年3月の東日本大震災、2013年11月のフィリピンおよびパラオ台風災害など次々に発生した国際的な大災害に、台湾は適時の支援と義援金を贈っており、これらは『人道的支援の提供者』としての役割を実行している具体例である」と説明した。
台湾のピースメーカーとしての役割の面での努力については、「私は総統に就任以来、中国大陸と平和的交流の推進に努め、様々な方法により、双方の関係は大幅に改善され、台湾海峡はかつての殺戮(さつりく)の戦場から、平和の大道と繁栄のマーケットへと変わった。また、私が2012年に『東シナ海平和イニシアチブ』も提起し、協議と対話を通して、東アジア地域が釣魚台列島(日本名:尖閣諸島)争議による衝突の緊張情勢の高まりを緩和させることを願い、関係各方面が争議を棚上げし、東シナ海の資源を共に開発するよう呼びかけた」と説明した。
その上で、馬総統は「東シナ海平和イニシアチブ」の原則と協議に基づき、台湾と日本は2013年4月に『台日漁業協議』に調印し、それにより双方の漁民の権利が保障され、さらには、地域内の緊張関係も緩和されたことなどを具体的に述べた。
台湾の活路外交の成果
中華民国(台湾)政府は、2008年5月より「活路外交」政策を推進し、「尊厳、自主、実務的、弾力的」の原則で、国際空間を開拓し、友好国との関係を強固なものにし、国交のない国とも実質的な関係を向上させてきた。
「活路外交」は、推進し始めてからこれまで、国内世論の十分な支持と国際社会からの一致した評価を得てきた。外交部は、馬英九総統が提起した「東シナ海平和イニシアチブ」はその一つの成果であるとしている。
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台湾と国交のない国との実質的関係もますます緊密になっている。特に米国、日本、欧州連合(EU)との協力はますます深化している。馬総統は2014年1月と6月、江宜樺・行政院長は2014年5月にそれぞれ外遊の際に米国でトランジットしたが、米国は台湾に対して高レベルの礼遇で迎え、スムーズに通過することができた。2014年4月に米国のジーナ・マッカーシー環境保護庁長官が訪台し、国際環境保護のテーマについてパートナー関係が構築され、台米間の高度な相互信頼がより明確化された。このほか、米国連邦議会下院は2014年4月に「2014年台湾関係法と海軍艦艇移転を確認する法案」を可決し、台湾への武器売却を支持した。
台湾とEUの関係は「台EU年度諮商会議」の制度的なメカニズムの下、経済・貿易、文化・教育、科学技術、人権、原子力安全、国土安全保障、インターネットセキュリティーなどのテーマについて議論と協力を進めている。台湾からは呉敦義副総統夫妻および邱文達・衛生福利部長、龍応台・文化部長、潘世偉・労働部長などの大臣クラスがEUを訪問している。
台湾と日本の関係は歴史的な縁が極めて深く、双方の経済・貿易の発展、人的往来などさまざまなレベルでの交流を通して、両国の関係はますます緊密になっている。2013年の両国の相互訪問者数は376万人に達し、最高記録を更新した。台日間の貿易額は624億米㌦に達し、互いに重要な輸出入市場となっている。