王毅中国外相モンゴル訪問、首都中心部で抗議行動


内モンゴル漢語化教育

 中国の王毅外相が15日から16日にかけてモンゴル国を訪問するのに合わせ、首都ウランバートルでは市民らが内モンゴル自治区で行われている教育の漢語化政策に対する抗議行動を行った。

15日、ウランバートルの中心部でモンゴル語の保護を求めデモ行進する市民ら(バラムサイ・チャダラーバル氏提供)

15日、ウランバートルの中心部でモンゴル語の保護を求めデモ行進する市民ら(バラムサイ・チャダラーバル氏提供)

 ネット上に流れた複数の中継映像によると、政府庁舎前のスフバートル広場に集った市民らは、伝統的なモンゴル文字、中国語、英語で書かれたモンゴル語の保護を要求するプラカードや国旗を手に「母語を守ろう」「同胞を擁護しよう」などと訴えた。“#Save The Mongolian Language”(モンゴル語を守れ)と書かれた横断幕への署名も行われた。

 モンゴル国外務省の発表によると、今回の訪問はエンフタイワン外務相の招請によるもの。複数の地元メディアの報道では、今回の訪問で王毅外相は同国に対し7億人民元(約110億円)の無償資金協力への署名を予定しており、市民からは「モンゴルに金銭を提供して同胞の内モンゴルへの弾圧を強めようとしている」などと批判の声が上がっている。

 内モンゴル自治区で起きている教育の漢語化政策やそれに対する民衆の抗議、警察による取り締まりについて、モンゴル国政府としては依然公式の見解を出していない。一方でツァヒア・エルベグドルジ前大統領がSNSを通じてモンゴル語教育継続に向けた運動を呼び掛けているほか、モンゴル国や世界各国で暮らすモンゴル系の人々は7日に米政府へのインターネットを通じた請願サイト“WE the PEOPLE”での署名運動を開始し、15日に目標の10万人を達成している。

(辻本奈緒子)