宇野昌磨、自己ベストでついにビッグタイトル


世界フィギュアで初優勝、最後まで精魂込めた「ボレロ」

宇野昌磨、自己ベストでついにビッグタイトル

初めて世界選手権で優勝し、日の丸を手にポーズを取る宇野昌磨=26日、フランス・モンペリエ(EPA時事)

 世界屈指のスケーターとして活躍する宇野も、ビッグタイトルには届いていなかった。「なかなか優勝というのを取ったことがなかった。初めて世界選手権で1位になれてうれしい」。羽生とチェンが不在とはいえ、SP、フリーとも自己ベストを出して「シルバーコレクター」を返上した。

 今季は世界トップの座を意識し続けてきた。フリーの「ボレロ」で4回転ジャンプを4種類5本跳ぶ高難度の構成にチャレンジしてきたのも「1位を目指すために、リスクを負って挑まなければいけない」との思いからだった。

 北京五輪後は、ただがむしゃらに演技を最後まで通す練習を繰り返すのではなく、後半の滑りに調整の時間を割いた。北京では前半に跳んだ4回転フリップを後半に戻したのは、自信の表れ。大崩れせず、最後のスピン、ステップまで精魂込めて舞えた。「1年で仕上げるのは不可能だと思っていた。世界選手権の1位まで上り詰められた」と誇った。

 2019年、グルノーブルでのフランス杯。コーチをつけない孤独な戦いに挑み、8位に沈んだ。同じフランスの地で開催された世界選手権。「素晴らしい成績を取れたことに感謝しかない」。苦難を越え、さらにうまく、たくましくなった姿で最高の輝きを得た。(モンペリエ時事)