「マグネットボール」に注意、 乳幼児の誤飲相次ぐ


消費者事故調が注意を呼び掛け「子供の周辺からは除去を」

「マグネットボール」に注意、乳幼児の誤飲相次ぐ

強い磁力で指を挟むマグネットボール(国民生活センター提供)

 磁力が強い小型磁石を使ったおもちゃ「マグネットボール」の乳幼児による誤飲事故が相次いでいるとして、消費者安全調査委員会(消費者事故調)は24日、販売に関する法規制などを経済産業相に求める報告書をまとめた。海外では死亡例もあり、「玩具ではないと考え、子供の周辺からは除去してほしい」と注意を呼び掛けている。

 報告書によると、マグネットボールは直径3~5ミリ程度の球状の磁石で、1セット数十~数百個の商品が多い。互いをくっつけて好きな形を作る知育玩具として、主にネット通販で手に入る。

 消費者事故調は、2017~21年に報告があった10件の事故を分析。磁石同士が消化管の壁を挟んで引き合い、小腸や胃に傷が付いたり穴が開いたりするケースが多かった。事故を起こした商品の磁力を測定したところ、いずれも玩具安全(ST)基準の約7倍の数値を示した。18年1月に医療機関を受診した1歳の事例では、レントゲン検査で異物が見つかり腸閉塞と診断。摘出手術でマグネットボールが37個見つかり、治療に66日かかった。

 報告書は「数の多さや大きさから、保護者が誤飲に気付きにくい」と指摘している。

 米国やオーストラリアなどでは死亡事故も起き、14歳未満を対象とした商品に規制が設けられている。記者会見した消費者事故調の中川丈久委員長は「日本に規制する法令がないのが最大の事故原因。製造、販売、輸入について法規制の検討をしてもらいたい」と訴えた。