大き過ぎても大丈夫、シラス・アジなど有効利用
「規格外」の魚の活用進む、新商品として提供され人気に
マグロやブリなど、大きく丸々と太った魚に人気がある半面、大き過ぎて逆に需要が減るシラスなどの活用が進んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う巣ごもり需要などを背景に、新商品として提供され、人気を呼んでいる。
イワシなどの稚魚は「シラス干し」などの原料となる。1~2センチほどのサイズが主流で、3センチくらいまで大きくなると「規格外」としてスーパーなどの店頭に並ぶことは少ない。
東京・豊洲市場(江東区)の卸会社によると、大型のシラスは「主力サイズに比べて半値くらい」という。ただ、「食べ応えがあってうま味も十分ある」(産地関係者)ため、一部のスーパーや飲食チェーンは昨年、大型の「釜揚げシラス」を弁当やパスタの材料に使い好評だったという。
アジも大き過ぎると敬遠される向きがある。丸焼きや「開き」で需要があるのは、1匹200グラム前後の中型。極端に小さければ唐揚げ用などになるが「300グラム以上の大型は、比較的脂が少なく人気が落ちる」(豊洲卸)という。
アジの開きも大き過ぎると焼きにくく、皿にも盛りづらいが、静岡県沼津市の加工業者「五十嵐水産」は、大型のアジを原料に頭や尾、ひれ、中骨などを取り除いて半身にした干物を2年前に発売した。
半身にしたことで、通常の開きよりもグリルやフライパンで一度にたくさん焼けるほか、大半が可食部でごみが少ないため、コロナ禍で順調な売れ行きとなっている。
このほか、3キロ以上の大型マダイや、江戸前のすしネタで知られるコハダの成魚であるコノシロといった魚も、それぞれ小型に比べ人気が落ちるが、店によって焼いたり揚げたり、工夫しながら提供している。