ジュゴンが水中であくび、三重大などが確認


鳥羽水族館で、「あくびに呼吸は不要」見解の裏付けに

ジュゴンが水中であくび、三重大などが確認

水中であくびをする鳥羽水族館の雌のジュゴン「セレナ」(三重大大学院生の榎津晨子さん提供)

 三重県鳥羽市の鳥羽水族館で飼育しているジュゴンが水中であくびをすることを初めて確認したと、三重大などの研究チームが19日までに発表した。完全に水中で生活をする哺乳類のあくびの確認は、三重大が昨年7月に発表したハンドウイルカに次いで2例目となる。今回の研究成果は同年11月、動物行動学の国際誌に掲載された。

 あくびは、ヒトを含む脊椎動物が主に眠いときに自然とする行動で、「初めに口をゆっくり大きく開けて空気を吸い、口の大きさが最大に達した後、最後に短く空気を吐き出して口を閉じる」とされている。

 ジュゴンのあくびは、国内で唯一飼育されている同水族館の雌のジュゴン「セレナ」を研究チームが約20時間観察して確認。呼吸ができない水中で「口をゆっくり開け、最大の状態をしばらく維持し、その後急速に閉める」という行動を14回確認し、動きがほとんどない休息状態時に起こっていたため、あくびと結論付けた。研究チームが提示している「あくびには呼吸を伴う必要がない」という見解の裏付けになるとみている。

 研究チームの森阪匡通・三重大准教授は「あくびは生活する上で大切な行動だが、まだまだ解明されていない」と述べた。今後、水中で生活する他の哺乳類や、飼育下でない状態での調査を進めるという。