路頭に迷うウクライナ難民、隣国ではパンク状態


避難民250万人超え、邦人女性「継続支援を」呼び掛け

路頭に迷うウクライナ難民、隣国ではパンク状態

ウクライナから逃れ、ポーランドのクラクフ中央駅で列に並ぶ人々=3月上旬(吉田祐美さん提供)

 ロシアの侵攻が続くウクライナから国外へ逃れた避難民が250万人を超え、隣国ポーランドの街は人であふれ「パンク状態」となっている。宿泊先が見つからず、駅で寝泊まりする人も。支援活動に当たる同国在住の吉田祐美さん(27)が11日、オンラインで取材に応じ、現地の様子を明かした。

 ロシアが侵攻を始めた2月24日以降、ウクライナ難民は増加の一途をたどり、ポーランドでは最多の約152万人を受け入れる。難民を支援する市民は空き家や自宅のゲストルームを開放し、一時的な住居を提供している。政府はこうした市民に対し、受け入れ難民1人につき1日40ズロチ(約1000円)を支給する支援策を打ち出した。

 ウクライナ国境から西へ約250キロ離れたポーランド南部クラクフ。現地でコンサルティング会社「ASAGAO」を経営する吉田さんは「以前の1・5倍くらいに人口が増えた。9日ごろから街はパンクしている」と明かす。クラクフ中央駅は連日人でごった返し、路面を走るトラム(路面電車)も満員状態。ボランティアが提供する住居はほぼ埋まっているとみられ、駅で一夜を明かす人がいるという。

 一方、激しい攻防が続くウクライナでは物流が滞り、食料危機に陥る都市もある。「小規模でも、必要な所に必要な物を届けたい」。吉田さんは6日、日本から寄付を募り、ウクライナ難民らと協力して国境まで物資を運ぶ活動を開始。現地に残る知人からニーズを聞き取り、これまでに段ボール5箱分を2回送った。

 当初は医薬品や携帯電話充電器、衣類が中心だったが、第2便では子ども向け離乳食や冬用寝袋、止血剤などを調達。武器や防弾チョッキも要望されたが断ったという。

 日本からの募金は約90万円に達したが、「活動を手伝ってくれている避難民は、今は国を支えたいとの思いで動いている。でも生活の見通しは全く立っておらず、いつまで気持ちが持つか心配している」と吉田さん。「日本から『侵攻はおかしい』と声を上げることは、長期的にウクライナの人の力になる」と語り、継続的な支援を呼び掛ける。活動は4月6日まで続ける予定だ。