島根県沖で、大雪もたらす 「大気収束帯」 を観測


水産大学校の船から観測、大雪の予報精度向上などに期待

島根県沖で、大雪もたらす「大気収束帯」を観測

日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)の雪雲の衛星画像昼ごろから雨か雪。東部も夕方以降に一時雪。(円内)。西日本の日本海側で大雪になった2021年12月26日に気象衛星ひまわりが観測した(気象庁提供)

 日本海側に大雪をもたらす「日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)」を、水産大学校の練習船「耕洋丸」(2352トン)で島根県沖を航行しながら観測したと、同校と三重大、新潟大、東京大の研究チームが28日までに発表した。暖かい海面から大量の水蒸気が冷たい上空に上がって雪となり、狭い帯状の範囲に集中した強風により陸地に流れる様子が解明された。

 JPCZは冬に時々発生し、シベリアからの風が朝鮮半島の高い山などの影響を受けた後、日本海北西部で合流して筋状の雪雲が生じる。観測データは大雪の予報精度向上に役立つため、海上での恒常的な気象観測が望まれるという。

 観測したのは1月19~20日。鳥取県・大山の気象庁観測点では日ごとの降雪量が18日に41センチと大雪になった後、6センチ、12センチと推移した時期だった。

 耕洋丸は暖流の対馬海流沿いに航行し、1時間ごとに海面水温や塩分を観測するとともに、気球を揚げて気温や湿度、風向風速、気圧を測定した。その結果、島根県出雲市付近の沖合でJPCZに差し掛かり、西風が北風に急変して幅約15キロの狭い帯状に収束していることが判明した。水温14度、気温3度で温度差は11度もあり、毎秒17メートルの強風を観測。発生した雪雲の雲頂高度は周辺の約2キロと比べ約4キロと高く、中心部で雪やあられが強まっていた。