海洋機構が発表、漂着軽石から噴火原因を推定


海底火山「福徳岡ノ場」の爆発的噴火、ナノライトから分析

海洋機構が発表、漂着軽石から噴火原因を推定

小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火で噴出し、那覇市の「波の上ビーチ」に漂着した軽石=2021年11月12日

 昨年8月に起きた小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火について、海洋研究開発機構は19日までに、沖縄県などに大量に漂着した軽石の分析から、マントル深部の玄武岩マグマが、爆発的噴火の引き金になったとする論文を日本地質学会の国際誌に発表した。

 福徳岡ノ場の噴火では、噴出した軽石が大量に沖縄県や鹿児島県沿岸に漂着。漁船やフェリーなどの運航、養殖漁業などに影響が出た。

 海洋機構火山地球内部研究センターの吉田健太研究員らは、気象庁が採取した太平洋上の漂流軽石や、漂着した軽石を詳しく分析し、噴火を引き起こした地下のマグマの性質を調べた。

 一般的に爆発的な噴火は、粘り気の強い(粘性度が高い)マグマによって引き起こされるが、軽石の分析からは、福徳岡ノ場地下のマグマだまりの粘性度は中間的と分かった。

 一方、一部の軽石には玄武岩マグマという別のマグマ由来の物質とともに、マグマの粘性度を大幅に高める磁鉄鉱の粒子(ナノライト)が含まれていた。

 ナノライトの生成条件などから、研究チームは地下深くから上昇した高温の玄武岩マグマが、粗面岩のマグマだまりに貫入してナノライトを形成。粘性度を高めてガスをため込み、爆発的な噴火につながったと結論付けた。