ワリエワ選手の異名「絶望」は日本ファン発祥?
地元では「カミ」、「意図せぬ使われ方」に投稿者は困惑
高い演技力と共に、ドーピング問題でも注目を集めた北京五輪フィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ選手(15)=ロシア・オリンピック委員会=。ライバルたちを諦めの心境に突き落とす「絶望」の異名を持つ、と一部メディアで紹介されている。ただ、由来をたどると、約3年前の日本のフィギュアファンのつぶやきにたどり着く。
「ロシアで『絶望』と呼ぶ人はいない。唯一の愛称は『カミ』(カミラの略称)」と明かすのは、ロシアメディア「スポーツボックス・ル」(モスクワ)のアンドレイ・イワノフ副編集長だ。「『絶望』の異名は、格闘技の選手だね。女子フィギュア選手には似合わないな」と話す。
南部ボルゴグラードに住む英語教師のワレリヤ・ソロドカヤさんは2015年からフィギュアを観戦するが、「『絶望』と呼ばれているなんて聞いたことがない。日本メディアが付けたのでは」といぶかしむ。
インターネット交流サイト(SNS)で調べると、「3日に1回くらい見て絶望したいなと思う日があるんだよな」などのツイッター投稿に行き着いた。12歳だったワリエワ選手が年代別大会で優勝していた18~19年シーズンで、同選手の演技を見た日本の一部ファンの間でやりとりされていた。
投稿していた20代男性が取材に応じ、「僕も含め数人が言いだした」と明かした。「ファンが想像した完璧な演技を何度も超えてくる期待感、高揚感を逆説的に表現していた」と話す。
今では他の選手を絶望させるような完成度の高い演技という意味合いで使われているが、男性は「もともとの意図と違う形で使われているので、これ以上広まってほしくない。選手のマイナスイメージにならないよう祈るばかり」とも語った。