藤井聡太五冠、最新AI技術も貪欲に活用


強さの原動力に、「衝撃的な手」はDL型AIと同じ選択

藤井聡太五冠、最新AI技術も貪欲に活用

史上最年少で五冠を達成し、記念撮影に応じる藤井聡太五冠=12日午後、東京都立川市

藤井聡太五冠、最新AI技術も貪欲に活用

第71期王将戦7番勝負の第4局で渡辺明王将(左)に勝利し、感想戦で対局を振り返る藤井聡太五冠=12日午後、東京都立川市(代表撮影)

藤井聡太五冠、最新AI技術も貪欲に活用

将棋 五冠獲得年少記録

 4連勝で王将位を手に入れた藤井聡太五冠(19)と渡辺明二冠(37)の勝負は「最新のディープラーニング型将棋AI(人工知能)の使い手同士の戦い」でもあった。AI開発者の山口祐さんは、最新技術も貪欲に活用する藤井五冠の飽くなき探究心に注目する。

 藤井五冠が第1局の41手目に指した8六歩。狙いが分かりにくく、立会人の森内俊之九段(51)は「衝撃的な手」「未来の感覚」と驚嘆し、渡辺二冠も次の一手に91分を費やした。

 しかし、山口さんは「8六歩は、ディープラーニング(DL)型将棋AIでは候補手の上位に来る。藤井さんは事前に研究していたのではないか」とみる。DL型は、多くの棋士が研究に使っている従来型とは全く異なる最新型のAIだ。

 従来型AIは1秒間に8000万から1億局面を読む圧倒的な計算力を誇り、その棋力は今やプロをはるかに上回る。それでも、選択の幅が広い序盤では最善手を導き出せないこともあるという。

 一方、DL型は、高精細映像やゲームに使われる映像処理装置を活用。盤面の画像を数値化し、人間の神経細胞を模した高度な計算モデルで答えを出す。そこには棋士の「大局観」に似た判断過程も見られるといい、序盤の正確さに特長がある。

 DL型の使用を公言している棋士は、一昨年にいち早く導入した藤井五冠と昨年始めた渡辺二冠だけ。山口さんは「どれだけ使いこなせているかでは、藤井さんには一日の長がある」と指摘する。

 山口さんが開発したDL型の「PAL(パル)」は昨年、将棋AIの世界選手権で準優勝。プロの公式戦のNHK杯では形勢判断の表示に使われている。そのPALが示す最善手とプロ棋士たちの指し手を比較したところ、藤井五冠は全棋士でAIに最も近い手を選んでいることが判明した。

 山口さんは「AIが藤井さんの活躍の主たる要因ではなく、新しいものを取り入れるモチベーションの高さが強さの一番の原動力なのだと思う」と話している。