フィギュア羽生選手が挑んだ未到、示した意地


クワッドアクセルに挑戦、「やり切った」地元・恩師ら

フィギュア羽生選手が挑んだ未到、示した意地

羽生結弦選手の演技を見守る、東北高時代の恩師、五十嵐一弥さん(前列左端)と東北高フィギュアスケート部OGの三浦向日葵さん(右端)ら=10日午後、仙台市青葉区

 北京五輪フィギュアスケート男子の羽生結弦選手(27)=ANA=が大会3連覇を懸け、フリーの演技に臨み、前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑戦した。転倒したものの、五輪を2連覇した王者の意地を貫き、地元・仙台市で声援を送った東北高時代の恩師、五十嵐一弥さん(76)は「やり切った」とたたえた。

 五十嵐さんは高校時代の羽生選手を「まじめに取り組む努力家だった」と話す。一方で、4年前の平昌五輪以降の変化を感じ取っていたという。

 五十嵐さんはフィギュアスケート部顧問として、2週に1回のミーティングなどで選手としての心構えを伝えた。当時の羽生選手から「金メダル発言」は聞いたことがなく、「当たり前だから、あえて言わなかったのかな」とも思う。

 「3連覇への権利を有しているのは僕しかいない」。羽生選手は昨年12月、6度目となる全日本選手権優勝後に金メダルへの思いを口にした。

 五十嵐さんは「あんな負けん気の顔は見たことない」と驚く。最大のライバル、米国のネーサン・チェン選手(22)の名を挙げ、「クワッドアクセルはスケーターとして結弦の意地。これを跳ばなければチェンがパーフェクトで跳んだ時に勝てないと分かっていた」と振り返る。

 しかし、大会本番、羽生選手はショートプログラムでアクシデントに見舞われ8位と大きく出遅れた。それでもフリーの演技冒頭、大技に挑戦。転倒したが、4位まで順位を上げた。

 自宅で見守った五十嵐さんは「今まで成功したことがないクワッドアクセルに挑戦した姿に感動した。(大会で)認定されたのであれば、やり切ったという気持ちだと思う」と話した。

 共に観戦したフィギュアスケート部OGの三浦向日葵さん(19)は「誰もやったことのないものを自身で練習してきた。多くの人に勇気を与えたと思う」と語った。