小林陵侑選手、飛行後半にビッグジャンプの極意


北翔大など、「富岳」でジャンプ解析、後半で揚力が増加

小林陵侑選手、飛行後半にビッグジャンプの極意

ポーランドで行われたノルディックスキージャンプのワールドカップ予選に臨む小林陵侑選手=1月15日(EPA時事)

小林陵侑選手、飛行後半にビッグジャンプの極意

スーパーコンピューター「富岳」が解析したジャンプ中の周囲の気流。小林陵侑選手(左)の方が、背面の乱れが小さい(北翔大、神戸大、理化学研究所提供)

 北翔大(北海道江別市)や理化学研究所などは4日、北京五輪ノルディックスキー・ジャンプで金メダル獲得が期待される小林陵侑選手(25)の飛行姿勢を、スーパーコンピューター「富岳」で解析した結果を発表した。特に後半の背面の気流の乱れの少なさが、長い飛距離につながっているという。

 体の各部に取り付けたセンサーで動きをデータ化する「モーションキャプチャー」という手法を活用して分析すると、比較対象の選手は後半で揚力が減少するのに、小林選手は増加していることが分かった。

 揚力の増加要因は、背面の気流の乱れが小さく、背中にかかる圧力が小さいため。気流には体の角度などが影響するといい、北翔大の山本敬三教授は「小林選手は後半に向けて体の角度をコントロールし、高い飛行精度を常に維持しているのではないか」と指摘する。

 流体力学の複雑で膨大な計算を富岳が担った。今後、他の選手の解析も行う予定で、山本教授は「風という見えないものを可視化できた。これまで試行錯誤してきた選手に情報を提供したい」と話した。