大関御嶽海が誕生、言葉に歴史背負う覚悟


名門の出羽海部屋から半世紀ぶり新大関「満足せず横綱へ」

大関御嶽海が誕生、言葉に歴史背負う覚悟

新大関昇進を祝福される御嶽海=東京都墨田区(代表撮影)

大関御嶽海が誕生、言葉に歴史背負う覚悟

大関昇進の伝達式を終え、記者会見する御嶽海(左)と師匠の出羽海親方=26日、東京都墨田区の出羽海部屋(代表撮影)

 大相撲で新大関御嶽海(29)=本名大道久司=が26日誕生した。長野県出身では江戸時代の雷電以来、227年ぶりで、名門の出羽海部屋からは1975年九州場所後の三重ノ海以来。「今まで以上に気を引き締めてやっていくしかない」との言葉に、歴史を背負う覚悟がにじんでいた。

 東洋大ではアマチュア横綱、学生横綱に輝くなど華々しい実績を残したが、「大相撲は厳しい世界だし、上にいけるかどうか不安だった」と言う。卒業後は和歌山県庁に就職予定だった御嶽海を、出羽海親方(元幕内小城乃花)の熱意が動かした。「以前のような活気のある部屋にしたい。何とか力を貸してほしい」

 名門の出羽海部屋とはいえ、2014年2月に現師匠が部屋を継承した時は関取が不在。名門再興を託され、両親の反対を押し切って入門した。15年春場所の初土俵から7年もの月日を経て迎えた昇進を告げる使者。師匠は「こういう日が来るとは夢にも思わなかった」とかみしめた。

 16年九州場所での新三役昇進から足踏みが続いた日々も思い返し、「この部屋だったからこそ大関になれた」と感謝。師匠の実弟で、時に厳しく指導してきた部屋付きの中立親方(元小結小城錦)は早速、「喜びは、これで終わり。今後が大変だと思う」と戒めた。

 伝統をつなぐ看板力士としての歩みが始まる。元関脇鷲羽山の先代師匠、石田佳員さんは「これに満足せず、横綱に向けてなお一層、努力してほしい」と求め、本人も「まだまだ追い掛けるものがある」。その野心は尽きそうにはない。