気象庁が対応に苦慮、津波か不明も警報発表
「未知の現象」、海外の火山噴火による潮位変動観測は初
南太平洋のトンガ諸島付近で発生した海底火山噴火に伴い、16日未明に津波警報・注意報を発表した気象庁。通常の地震による津波とは異なる潮位変動が続き、対応に苦慮した。海外の火山噴火の影響で、国内で潮位変動が観測されたのは初めて。緊急の記者会見を開いた同庁幹部は「こういう現象は知らない」と戸惑いをにじませた。
噴火があったのは15日午後1時10分ごろ(日本時間)。トンガの首都ヌクアロファでは80センチの津波が観測された。同庁は午後7時すぎ、日本沿岸では「若干の海面変動が予想されるが、被害の心配なし」とする情報を出した。
午後8時ごろから国内の太平洋沿岸で潮位の変化が観測され始めたが、津波の到達予想時刻より2時間以上早い地点もあった。トンガと日本の間にあるサイパンなどで大きな波が観測されなかったこともあり、同庁は津波と判断しなかった。
だが、日本各地の潮位変化はその後も継続。午後11時ごろには1メートルを超える地点も出始めた。警戒を呼び掛ける必要に迫られた同庁は「津波かどうかは不明」としつつ、津波警報・注意報の枠組みを使うことを決め、16日午前0時15分に発表した。
「通常の地震による津波とは異なる」「原因、メカニズムは分からない」。未明の会見で宮岡一樹地震情報企画官は困惑した様子だった。「どういった経過をたどるか予想がつかない」ため、警報などの発表にも時間がかかったと説明した。