マリモに「年輪」、神戸大などがMRIで確認
年間の密度の差が年輪の原因か、中心の藻が分解され栄養に
北海道釧路市の阿寒湖に生息する特別天然記念物のマリモに、樹木の断面に見られる「年輪」のような模様が形成されることを神戸大などの研究チームが明らかにした。
中心部の藻が分解され、成長に生かされていることも判明。論文は5日までに、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
同大の中山恵介教授や釧路市教育委員会マリモ研究室の尾山洋一博士(陸水学)らの研究チームは、人間の検査に使われる磁気共鳴画像装置(MRI)の調整を繰り返し、マリモ内部の撮影に成功。
細い藻が絡まった表面から厚さ4~5センチの部分に、年輪のような模様があるのを確認した。
マリモは長さ3センチ程度の細い藻が集まっている。夏から秋ごろは風により湖面が波立つ影響でマリモも水中を転がり、表面が磨かれて密度が高まる。一方、湖面が凍る冬から春ごろは動かずにぼさぼさになる。この密度の差が年輪を生むと考えられる。
年輪の幅から、1年で直径が9~12・6ミリ成長することも分かった。丸くなり始めてから「巨大マリモ」と呼ばれる直径30センチになるには20~28年程度かかる計算になる。
成長したマリモの中心には空洞がある。内部では藻が分解され徐々に溶け出し、外側で成長に使われることも判明した。
尾山さんは、阿寒湖は栄養が乏しく、他の水草などと奪い合いになるとし、「自らの中に栄養を貯蔵して成長するのは、マリモならではの生存戦略だ」と分析。成長速度や栄養の流れが明らかになったことで、マリモの保護や維持管理に役立てたいと話した。