善光寺の御開帳、諏訪大社の御柱祭が同時開催


長野県の経済回復に相乗効果も期待、コロナ対策も万全

善光寺の御開帳、諏訪大社の御柱祭が同時開催

木落としで、御柱と共に急斜面を豪快に滑る降りる氏子たち=2016年4月8日、長野県下諏訪町

善光寺の御開帳、諏訪大社の御柱祭が同時開催

前回の「御開帳」で行われた法要。中央に立つのが、前立本尊と金糸などで結ばれた回向柱=2015年5月9日、長野市の善光寺

 数えで7年に1度の行事が、長野県でいずれも今年4月に開催される。善光寺(長野市)の「御開帳」と、諏訪大社(諏訪市など)の「御柱祭」だ。新型コロナウイルスの影響で御開帳が1年延期となったためで、重なるのは戦後初。コロナ禍で冷え込んだ地域経済の回復に相乗効果も期待される一方、オミクロン株の急速な流行の恐れもあり、関係者は感染防止対策に万全を期す。

 御開帳は、秘仏の本尊を模した「前立本尊」を公開する行事。境内に立てた「回向柱」に触れることで、功徳が得られるとされる。2015年の前回は57日間で約707万人が訪れ、約1137億円の経済効果をもたらした。

 今回は、分散参拝を促すため4月3日から過去最長の88日間とした。多数の人が触れる回向柱には、抗ウイルス・抗菌効果のある光触媒のコーティング剤を塗るなどして感染防止に努める。若麻績享則寺務総長は「密を回避し、参拝者の安全、安心感の向上を期した」と話した。

 御柱祭は、山から切り出した巨木に大勢の氏子が乗って急斜面を駆け下る、勇壮な「木落し」で知られる。前回(16年)は約157万人の観衆が詰め掛け、約201億円の経済効果を上げた。

 諏訪大社の大総代は4月2日~6月15日の開催に向けたガイドラインを公開。コロナワクチン接種か72時間以内の検査を氏子の参加条件とし、諏訪圏域以外の人には観覧を控えるよう呼び掛けた。県の定める6段階の感染警戒レベルが4以上の場合、木落しなどは見送るとも明記した。茅野市などは、有料観覧席の一部を設けないことを決めた。

 万一クラスター(感染者集団)が発生するなどした場合、批判が集まり次回の開催が危ぶまれることが懸念材料の一つだ。今回の措置を「古来より続く伝統と歴史をもつ祭事を守り、継承するため」とし、理解を求める。大総代の一人は「1200年以上続けてきた神事をつぶすわけにはいかない」と話している。