「より面白い将棋を」藤井聡太四冠が新年の抱負
2021年は「非常に充実」、9日からは渡辺三冠と王将戦
将棋の並み居るトップ棋士をなぎ倒し、最高峰の竜王を含む四つのタイトルを手にした藤井聡太四冠(19)=竜王、王位、叡王、棋聖=。昨年末に行った記者会見で、2021年を「非常に充実した1年」と振り返り、7月に成人となる今年に関しては「より面白い将棋を皆さんにお見せできるように頑張っていきたい」と抱負を述べた。
その最初の場となるのが、9日に静岡県掛川市で開幕する王将戦7番勝負だ。五冠獲得を懸けて挑む渡辺明三冠(37)=名人、棋王、王将=からは、一昨年に棋聖位を奪取。昨年は棋聖戦の挑戦者として迎え撃ち、ストレート勝ちで下した。だが、「内容的には際どい将棋が多かった」と、その強さは骨身に染みている様子。
4タイトルの防衛戦が続く夏以降は多忙さに一段と拍車が掛かる。全国各地の対局会場を転戦することになるが、「地方での対局は楽しみ。モチベーションにもなっている」と笑顔を見せる若者らしさものぞく。
勝負に関しては「負けを恐れる気持ちをゼロにはなかなかできないが、それ以上に対局を楽しむ気持ちを持つことがいいのかな」と語る。日ごろの息抜きは「将棋観戦」、趣味は「(詰め将棋に似たチェスのパズルの)チェス・プロブレムを解くこと」と答える藤井四冠なら、そんな離れ業も可能なのかもしれない。
周囲では五冠獲得への期待が膨らむが、当の本人にそうした「数」への関心はない。記者会見で色紙に記した「道」という字にも「『強くなること』を常に目標として取り組んできた。これからもぶれないように」との思いを込めたという。
「正月は毎年のんびり過ごします。好きな正月料理はかまぼこ」と笑いつつ、「それ(王将戦)に向けて準備をすることになるかなと思う」と付け加えた。戦いは始まっている。