福士加代子が現役引退、来年の大阪ハーフ最後に


明るく元気な引き際「おもしろい競技生活でしたっ」

福士加代子が現役引退、来年の大阪ハーフ最後に

2016年の大阪国際女子マラソンを2時間22分17秒で制し、喜ぶ福士加代子(中央)=同年1月31日、大阪・ヤンマースタジアム長居

 福士らしい、明るく元気な引き際だ。ワコール陸上部のホームページに、弾むような文体で「本当、いろいろあり過ぎて、おもしろい競技生活でしたっ! あと二つのレースを今までと変わらず、全力で楽しんで走りたい」などと第一線を退くメッセージを記した。

 早くから台頭し、ワコール入社3年目の2002年は日本選手権で5000メートルと1万メートルの2冠。他の選手が蒸し暑さに苦しむ中、爽快に走り抜けて満面の笑み。底知れない地力を印象づけた。

 02年釜山アジア大会の5000メートルで日本新記録の14分55秒19(その後記録を更新)、1万メートルでも渋井陽子に続く日本勢2人目の30分台(30分51秒81)。エースとして日本女子の長距離界をリードし、世界選手権や五輪の大舞台を踏んでいった。

 次はマラソンか。周囲の期待に応えるように08年1月、大阪国際女子マラソンに初挑戦。だが、一時の独走から「ガス欠」状態になって後退。転倒を繰り返しながらもゴールした。いったんはマラソンから離れたが、力強く再挑戦し、13年の世界選手権で銅メダル。16年1月の大阪国際を自己ベストの2時間22分17秒で制し、夏のリオデジャネイロ五輪に出場した。

 東京五輪の代表入りはかなわなかったものの、飽くなき挑戦を続けた。その姿はチームの後輩で、同五輪8位入賞の一山麻緒らに大きな勇気と刺激を与えた。山あり谷あり。20年以上にわたり、陸上界を活気づけた名ランナーだった。