浦和が大分下し8度目の優勝、思い一つに栄冠 


天皇杯、ロスタイムに決勝弾、奇跡を呼んだ「槙野劇場」

浦和が大分下し8度目の優勝、思い一つに栄冠 

優勝しカップを掲げて喜ぶ槙野(手前右)ら浦和の選手=19日、東京・国立競技場

浦和が大分下し8度目の優勝、思い一つに栄冠 

後半、決勝ゴールを決め喜ぶ浦和の槙野(手前)=19日、東京・国立競技場

 最後にドラマが待っていた。浦和は1-0の後半終了間際に痛恨の失点。それでも今季で退団する槙野が奇跡を呼んだ。同ロスタイムにCKの流れから、柴戸のシュートのコースを頭で変えて流し込む。警告覚悟でユニホームを脱ぎ、ゴール裏に待つサポーターの元へ駆けた。

 槙野が加わり、5バック気味のブロックを築いて逃げ切りを図った数分後に追い付かれた。大分に流れが傾きかけて、ロスタイムは5分の表示。「残りを槙野劇場にしたいと思っていた」と殊勲の34歳。GK西川から「マキ(槙野)が全て持っていけ」と背中を押され、期待に応えた。

 引退する阿部の花道を飾るため、チーム一丸で挑んだタイトルだった。準決勝は宇賀神、決勝は槙野と契約満了でチームを去るベテランが立て続けにゴール。3人がこだわっていたのがアジアの舞台への復帰。置き土産を残した形だ。先制点を演出した関根は「終わりであり、始まり。無駄にはできない」。来季を見据えた。

 就任1年目のロドリゲス監督の下、個々が流動的にポジションを変えながらゴールを目指すスタイルが定着。指揮官は「支えてくれた選手が残してくれたものの重さを体感し、高みを目指すことが大事」と表情を引き締める。生まれ変わった浦和に託されたバトンを、常勝軍団の礎にする。