星形の繭を作り枝につり下げる新種の寄生バチ
神戸大などが沖縄で発見、社会性の芽生えとの指摘も
神戸大などの研究チームは14日までに、星形の繭を集団で作り、枝などにつり下げる新種の寄生バチを発見したと発表した。沖縄本島などで見つかった体長数ミリのハチで、ホシガタハラボソコマユバチと命名。論文は国際専門誌の電子版に掲載された。
同大の前藤薫教授によると、星形の繭のようなものの存在は確認されていたが、実態が分からなかった。今回、形成過程の動画撮影に成功し、新種のハチの幼虫が糸を吐いて集団で作っていることが判明した。
宿主となる大型のガの幼虫に産み付けられた卵は一斉にふ化。数十匹のハチの幼虫が体外に出ると、糸を吐いて繭を作り、枝や葉にぶら下がる。幼虫は1メートルほど下に自然と集まり、風で糸が絡まると、直径約1センチの固まりに。個々の繭は外向きに放射状に整列し、最終的にコンペイトーのような形状で固まる。
大きな星形の繭を宙に浮かせることで、一つ一つの繭が外界と接する面積を最小化し、天敵から身を守っているとみられる。新種のハチは沖縄本島と鹿児島・奄美大島で見つかり、論文発表後に屋久島にも生息していることが分かったという。
前藤氏は「どうやってコミュニケーションを取っているか分からないが、協力して強い防御システムをつくっている。社会性の芽生えがうかがわれる」と指摘した。動画はユーチューブ(https://youtu.be/AuHarLHolPM)で公開している。