活動最終年のホンダ、奇跡の最終周逆転「信じられない」

アブダビＧＰで優勝し、トロフィーを掲げるレッドブル・ホンダのフェルスタッペン＝１２日、アブダビ（ＡＦＰ時事）

優勝したレッドブル・ホンダのフェルスタッペンの走り＝１２日、アブダビ（ＡＦＰ時事）

ホンダＦ１栄光の足跡

　こんなドラマチックな筋書きは誰にも書けない。活動最終年のホンダが、最終戦最終周（５８周目）でタイトル奪還に成功。サーキットが騒然とする中、レッドブル・ホンダのフェルスタッペンのマシンが先頭でフィニッシュラインを通過した。普段はクールな２４歳が絶叫。「信じられない。最後のラップでチャンスがきた。今年は最高だ」。奇跡の大逆転だった。

　年間王座を懸けた２人のドライバーが同点で最終戦に臨むのは４７年ぶり２度目。２１戦をこなした両雄が３６９・５ポイントで並び、１戦を残したこと自体が、Ｆ１史に刻まれる激闘の証しだった。

　ランキング上は優勝回数で上回るフェルスタッペンが首位。両者リタイアやノーポイントなら、フェルスタッペンの王座が決まるが、トップを快走していたハミルトンの優勝と戴冠が濃厚になっていた５３周目にそれは起きた。

　ラティフィ（ウィリアムズ）がクラッシュして黄旗が出て、隊列を先導するセーフティーカー（ＳＣ）が導入された。フェルスタッペンはわずかな望みをかけてソフトタイヤに交換。ライバルの背後に迫り、ＳＣ明けの残り１周を迎えた。

　摩耗した硬めのタイヤのハミルトンに対し、一発の速さのあるタイヤに替えたフェルスタッペンは、ターン５でインを突いて抜き去った。オランダ人初のＦ１王者は、「レースの中ではプッシュしていくしかない。それで奇跡は起きる」。その執念がホンダ最終年のタイトルを呼び込んだ。（アブダビ時事）

　マックス・フェルスタッペン　１５年オーストラリアＧＰでトロロッソから史上最年少の１７歳５カ月でＦ１デビュー。レッドブルに移籍した直後の１６年スペインＧＰを制し、１８歳７カ月で史上最年少優勝。攻撃的なドライビングと速さには定評があり、早くからチャンピオン候補と目されてきた。Ｆ１通算２０勝。父ヨスも元Ｆ１ドライバー。ベルギー・ハッセルト生まれのオランダ人。２４歳。（時事）