公取委が発表、楽天に独禁法違反の疑い


送料無料化で店側に不利益、優越的地位の乱用に当たる恐れ

公取委が発表、楽天に独禁法違反の疑い

「楽天市場」の送料無料化をめぐる調査について、記者会見する公正取引委員会の担当者=6日午後、東京都千代田区

 インターネット通販サイト「楽天市場」の送料無料化をめぐり、公正取引委員会は6日、サイトを運営する楽天が出店者に無料化への参加を余儀なくさせるなど、独禁法違反と疑われる行為があったと発表した。同社はこうした行為をやめ、「出店者の意思を尊重する」などの改善措置を申し出ており、公取委は措置の履行を確認した上で、年内をめどに調査を終了する方針を示した。

 楽天は2019年8月、利用者の利便性を図るとして、税込み3980円(沖縄・離島は9800円)以上の注文で送料を一律無料とする方針を表明した。これに対し、送料負担を強いられる出店者が反発。公取委は20年2月、同法違反(優越的地位の乱用)の疑いで同社を立ち入り検査した。

 公取委は同月、東京地裁に無料化の緊急停止命令を申し立て、全店一律の導入は延期された。翌3月に出店者が選択できる形で開始したため、公取委は強制がなかったか調査を続けていた。

 公取委によると、楽天の営業担当者らは20年3月ごろから、不参加店舗に対し「検索画面で上位に表示されなくなる」「契約を更新しない」などと示唆。同委は、全店参加を目指すという同社の方針が背景にあったとみている。同委の調査に、無料化した複数の店舗が送料分の負担などで利益が減ったと訴えたといい、楽天側の行為が「優越的地位の乱用」に当たる恐れがあると判断した。一方、楽天は改善措置の中で、独禁法に違反する行為をしない、社員に示唆させないなどと表明。意に反する形で無料化に参加した店舗については、不参加に戻ることを認めるとしている。