J2京都サンガ、再起を果たした曺貴裁監督


来季J1復帰が、大学生と汗流したコーチの経験が転機に

J2京都サンガ、再起を果たした曺貴裁監督

J1昇格を決め、選手と抱き合って喜ぶ京都の曺貴裁監督(右奥)=28日、フクアリ

J2京都サンガ、再起を果たした曺貴裁監督

J1昇格を決め、喜ぶ京都の選手たち=28日、フクアリ

 サッカーJ2京都サンガの来季J1復帰が28日決まった。就任1年目でクラブを12年ぶりの悲願に導いたのが曺貴裁監督(52)。パワーハラスメント行為の不祥事から、自らも再起を果たした。

 J1湘南ベルマーレを率いていた2019年。指導中の言動がパワハラ行為と認定されて辞任。Jリーグの監督に必要なS級ライセンスも1年間停止となる重い処分を受けた。

 曺監督が「本当に救われた」と振り返るように、転機となったのは昨年2月。失意の中、流通経大サッカー部のコーチとして招かれた。救いの手を差し伸べた同部監督の中野雄二さん(59)は「僕も(自らの指導法を)その都度反省して、人に助けられてやってきた。サッカー界からいなくなってはいけない」。

 大学生と一緒に汗を流しながら、自身を見つめ直した。「指導者は何を導くか。結果を出させることが一番ではないという気持ちが強くなった」と曺監督。処分が明け、昨年12月に生まれ故郷の京都の監督に就任すると、勝敗以上に選手の練習や試合での姿勢を重視。「(選手を)減点法で見ているのではなく、楽しみに見ている」。ミスを恐れずにチャレンジできる雰囲気づくりに努めた。

 その中で20歳の川崎颯太選手や23歳の麻田将吾選手ら若手が成長し、チーム躍進の原動力になった。手腕を発揮した曺監督は「選手から今年学んだことを生かさないといけない。選手も僕自身も(昇格は)通過点」と先を見据えた。