受けて立ち負けない照ノ富士、6度目の優勝
一人横綱の重責果たす、優勝に「一生懸命やっただけ」
照ノ富士が一人横綱としての重責を果たした。初日から白星を重ね、14日目での優勝に「ほっとしている。一生懸命やっただけ」。表情を変えずに話した。
勝てば優勝の一番は平幕阿炎が相手。もろ手で突き、迷わず前進してくる相手のペースで土俵際まで後退した。しかし左足で残し、相手のハズを外して右で抱える。離れようとしてバランスを崩した阿炎を押し倒した。
横綱白鵬が秋場所後に引退。責任が一層増した九州場所に「受けて立つ気持ち」で臨んだ。相手の形になっても、最後は負けない相撲が目立った。この日も押し込まれたように見えたが、あえて自分から上体を起こすことで、相手の上体も起きてつかまえやすくなる。今場所の阿炎の取組を見て、研究しながら練っていた作戦だった。
両膝のけがなどで序二段まで番付を落とした時に決めたのは「毎日、一生懸命」ということ。日々の稽古、対戦相手の研究など努力を欠かさない姿勢こそが、新横綱場所からの連覇、今年4度目の優勝を手繰り寄せた。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「十分責任を果たした」とたたえ、八角理事長(元横綱北勝海)も「一人横綱で大変なところをよくやった」と称賛した。
千秋楽は自身初の全勝優勝が懸かる。「そう簡単なことではない。チャンスがあればつかみたいと思う」。大関返り咲きを果たし、番付の最高位まで上り詰めた一年を最高の形で締めくくる。