福島県浪江町、被災漁港の復旧祝い竣工式


請戸漁港竣工「一つの励み」、防波堤に絵やモニュメント

福島県浪江町、被災漁港の復旧祝い竣工式

復旧工事が完了した請戸漁港の防波堤に付けられた、伝統工芸「大堀相馬焼」のサケのモニュメント=20日午前、福島県浪江町

 東日本大震災の津波で甚大な被害を受け、3月に復旧工事が完了した福島県浪江町の請戸漁港で20日、竣工(しゅんこう)式が行われた。東京電力福島第1原発から最も近い同漁港を最後に、被災した県内10カ所の漁港全てが復旧した。

 式には吉田数博町長や漁業関係者、小中学生ら約40人が出席。小中学生や請戸地区出身の大学生らが防波堤の一部に描いたカレイやスズキなどの絵のほか、町の伝統工芸、大堀相馬焼のサケのモニュメントが披露された。

 終了後、相馬双葉漁業協同組合の立谷寛治組合長は「一つの励みになり、ますますいい漁ができるのでは」と喜んだ。

 10年前の震災では、津波で請戸漁港の防波堤や市場の施設などが流された。原発事故で浪江町全域に避難指示が出た影響で、同漁港の修復工事に最も時間がかかった。避難指示は2017年3月に一部解除された。

 請戸漁港での競りは施設が復旧した20年4月に再開し、水揚げされた魚を地元スーパーなどに出荷している。福島県沖では今年3月末まで試験操業が続き、水揚げ量を原発事故前の水準に戻すための取り組みが進んでいる。

 一方、同原発で発生する放射性物質トリチウムを含んだ処理水の海洋放出が、23年春ごろをめどに予定されており、風評被害への懸念も根強い。