宮城の刃物男侵入事件、危機対応の課題浮き彫り


こども園に防犯グッズなく、不審者取り押さえは想定外

宮城の刃物男侵入事件、危機対応の課題浮き彫り

刃物を持って侵入した男を取り押さえた豊里こども園の男性職員=11日午後、宮城県登米市

 宮城県登米市の認定こども園に刃物を持った男が侵入した事件は、職員の機転で園児に危害が及ぶ事態を免れた一方で、危機管理の難しさを浮き彫りにした。県は事件を受け、県内の保育園などに防犯マニュアルの確認などを指示。保育施設の関係者は対策の再検討を求められている。

 事件は9日午前10時40分ごろ、同市豊里町の「豊里こども園」で発生。無職の男(31)が柵を乗り越えて敷地内に侵入し、刃物で職員に切り掛かった。

 職員4人が素手で取り押さえ、駆け付けた警察官に引き渡した。けが人はなかった。

 調べに対し、男は「子どもを殺す目的で侵入した。2人以上殺して死刑になるつもりだった」と供述しているといい、県警幹部は「大事件にならず良かった」と胸をなで下ろす。

 「逃げてしまったら子供たちに危害が及ぶと思い、立ち向かった」

 取り押さえた男性保育士らは11日、取材に応じた。園の周辺をうろつく不審者を発見し、刺激しないようアイコンタクトなどで情報共有。「雨が降りそうだから中に入ろうか」と、園庭にいた園児71人を避難させたという。

 2001年6月の大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件後、厚生労働省などは保育施設に危機管理マニュアルの策定を指示。豊里こども園は今年4月に開園し、机上訓練などを2回行っていた。ただ、上野律子園長(59)は「不審者を取り押さえることは想定外だった」と話した。

 マニュアル上は避難と通報が基本原則で、さすまたなどの防犯グッズは配備されていなかった。保育士は女性が多く、登米市子育て支援課の担当者は「さすまたなどは侵入者の武器になる可能性があり、有効に扱えるか課題もある」と説明する。

 事件を受け、豊里こども園では防犯スプレーなどの導入を検討する。

 宮城教育大の佐藤哲也教授(幼児教育学)は「防犯グッズを常備し、警察などと連携して護身術の研修などに取り組み、地域に広報することで抑止効果につながる」と指摘。マニュアルの検証や、行政の監査なども必要だとしている。