東京大名誉教授の中根千枝さんが死去、94歳
「タテ社会の人間関係」著者、社会人類学の草分け的存在
日本の社会人類学の草分け的存在で、「タテ社会の人間関係」の著者として知られる東京大名誉教授の中根千枝(なかね・ちえ)さんが10月12日午前4時、老衰のため東京都内の施設で死去した。94歳だった。東京都出身。葬儀は近親者で済ませた。喪主は妹・松井淳子(まつい・あつこ)さん。
東大で女性初の助手、講師、助教授、教授を務め、1980年に同大東洋文化研究所所長に就任した。インドやチベットの秘境に赴いて研究を続けたほか、ロンドン大などでも学んだ。
インドや中国、西欧などとの比較から日本のムラ意識、年功序列、終身雇用といったタテ社会構造を解き明かした。著書「タテ社会の人間関係」はベストセラーとなり、国際的にも知られた。
日本ユネスコ国内委員会会長、途上国への政府開発援助(ODA)の在り方を議論する文部科学省の国際教育協力懇談会座長などを務めた。日本学士院会員。98年に勲二等宝冠章、2001年に文化勲章。