ロッテの荻野貴司、36歳で充実の「完走」
不動のリードオフマン、全試合出場、史上最年長タイトルも
悔しさと充実感が入り交じるレギュラーシーズンだった。ロッテの荻野貴司外野手(36)がプロ12年目で初めて全試合でグラウンドに立ち、史上最年長での最多盗塁と、最多安打のタイトルを獲得。チームが2年連続で2位に終わっただけに「優勝できなかったことは悔しい」としつつも、「全試合出場を目標にしていたのでうれしい」と正直な思いも口にした。
これまでは故障に悩まされてきた。ルーキーイヤーの2010年は鮮烈な活躍を見せたが、右膝半月板を損傷。昨季も右太もも裏を痛めて途中離脱した。だからこそストレッチや膝周りの筋肉強化など、体のケアには人一倍気を配ってきた。
開幕戦から1番に座り、リードオフマンとしてチームをけん引した。出塁すれば常に先の塁を狙って好機を築き、主軸のマーティンやレアードに回す。今季は一回の打率が3割1分、四死球も17あり、第1打席で強さを発揮した。
10試合以上安打が続いても「毎日できることをコツコツやっている」と繰り返し言ってきた。「1日1本、1四球」を合言葉に積み重ねた169安打はキャリアハイ。パ・リーグの並み居る好打者を抑えてタイトルを手にした。
10月21日に36歳の誕生日を迎えた。井口監督も「彼を脅かす打者が出てこないと、と思うが、代わる選手は今のところいない」と大きな信頼を寄せる。優勝は逃したが、チャンスが残る日本一に向けて、まだまだ先頭で走る。