衆議院選挙公示、経済政策はどこに着目?
識者「財源は明らかに」、期待感だけで投票する難しさ
19日に公示された衆院選では、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ経済の立て直しが大きな争点となる。各党の公約には給付金や減税など似たような政策が並ぶが、有権者はどのような点に着目して投票すべきだろうか。識者に聞いた。
元財務官僚の小黒一正・法政大教授(公共経済学)は、与野党が競うように「分配」を掲げた背景には「アベノミクスで株価が上がる一方、2000年ごろから実質賃金が右肩下がりになっており、コロナ禍で生活困窮者が増えている現状がある」と指摘。「配るのはいいが、いずれ増税が避けられなくなる可能性があり、財源は明らかにすべきだ」とくぎを刺す。
現職の財務事務次官が与野党の政策を「バラマキ合戦」と批判した寄稿が波紋を広げたが、小黒教授は「公約をよく見ると、消費税減税でも一時的だったり財源を示していたり、少しずつ違いがある。慎重に見極めるべきだ」と提案。もう一つの大きな争点である新型コロナ対策についても「第6波が来るまでにまだ時間がある。出口戦略をどう考えているのかに注目すべきだ」と語った。
政治アナリストの伊藤惇夫さんは「国政選挙はそれまでの政権運営の実績が評価されるが、岸田文雄首相は就任後すぐに解散した。野党はそもそも政権に就いていない」として、実績でなく期待感だけで投票せざるを得ない難しさがあると指摘。今回の選挙を、「あれもこれもやります」という「予告編選挙」だと評する。
与党は成長が先、野党は分配が先という政策的な違いがあるとした上で、「与党は成長戦略が見えず、野党は財源をどうするのかが見えない」とそれぞれの問題点を指摘。「最後は自分の理想に近い主張の候補者に投票するしかない」と話した。