山と熊と人が織りなす調和・境界線を描く
作品展「霧中の山に抱かれて」、秋田県北秋田市で開催
秋田県北秋田市のマタギの里に5年間通い、山と熊と人が織りなす調和・境界線を描いた作品展「霧中の山に抱かれて」が同市阿仁公民館で開かれている(24日まで)。作者は、秋田公立美術大学を卒業した永沢碧衣(あおい)さん(26)。横手市を拠点に、商品デザインや絵画教室、写真撮影、渓流釣り、販売などに携わりながら、今回は大作5点を公開展示する。
幅約6メートルの「山景を纏(まと)う者」では、阿仁打当(うっとう)マタギのシカリ(頭領)鈴木英雄氏から聞いた話をヒントに、マタギが入山の際にお参りする神社を頭の上に載せて山深く住む熊や、里近くに現れ人間を怖れない母子など数頭の熊と山々を描いた。
狩猟免許を持ち有害鳥獣駆除にも参加する作者は、マタギの猟に同行し熊の解体に立ち会った経験を持つ。「解ける者」(高さ約1・6メートル)では死にゆく熊と舞い降りる雪、滝の流れに神妙な意味を込める。